Still, HIV ≠ OK.


0 3 ' 1 1

また痩せた?

しばらく時間をおいて会う人に必ず言われる時
ダイエットしたしぃ、と軽く答えてしまう自分は言葉とはどこか違う事を考えていたりする
実に軽率でイヤな気分になったりもしたりして…
HIVに感染すれば、痩せる事はあっても太る事はない
太ろうとしてみても、血糖値や中性脂肪が増え余計な事態になる可能性が高い
かと言って何もしないでいれば当然の如く体にはよろしくない
個人に合ったバランスで考える必要がある
私は意外にも自主トレを続けられている
こんなにできていられてイイのかな?と少しだけ自分を疑ったりする事もあるけれど
まあ、体調は悪くないのでイイのかもしれない

自分の体について、たまに書く事がある
症状についての事柄が多い中
たまに体形についても残してある事がある
週2、3回ほどしている運動に腹筋がある
3種類をそれぞれ何セットかずつしている
始めた頃は、10回を3セットでも!ヒイヒイ!言っていた
人の体は運動を始めると、1ヶ月をその動きに慣れる為
次の1ヶ月は体力をつける為
3ヶ月目は筋力をつける為、などと高校の時の保健体育で教わった気がする
目に見える効果を期待するならば、この期間が必要になるらしいのだ
確かに、こんな順番で体の変化を感じたり、実際に鏡で見た時の変化を観察できていた気がする
ギャラリィにも自前画像を載せたりして、それなりに陶酔している
まだ、通常では割れていたりしていないが、たるんだ肉が減っている感触はある
イイ事なのかどうなのかは、人夫々の判断なのだろうけれど
これもHIVの影響のひとつであることはまちがいない

ここ最近、面白い事に気がついた
それは、ヘソだ
へーそーなんてつまらない事ではない
だからどうしたと言われれば、別にそれだけですというくらいの事なのだけれど
ヘソが平らになって来たっ!
私がどれだけのヘソを見てきたのかといえば、そんなのものは数が知れている
あえて言うことができるとすれば、凹、みたいな外観が多かった気がする
でしょ?
それが、□!
凹凸がなくなって
フラットな面に絞ったようなくぼみがある、という感じになっている
今までの私の腹は生まれてからずっと脂肪が居座っていたので、常にアンパンのような感じだった
それが感染や日ごろの運動で、かまぼこのようになってきたのだ
・・・もうすこし上手い表現ができればイイのだけれど
中途半端なので、見た感じや感触から言えばこれで精一杯かな…
腕や足は動かせば動かすほど脂肪が落ちて、そのせいであたかも筋肉がついているように見えている

リポアトロフィ
着実に私の体にもあられているのだろう
感染し投薬をはじめた人の中には、非常に嫌がられる方もいる現象で
深刻になる場合も多い
見た目にわかることなので、差別や批難を受けることもある
顔がこけて腕や足が細い人はエイズ!
こんな認識を貼られることもある
やりにくくなることもあるだろう
でも、人はそんな事だけでは生きていない
いろいろなやり方で生きてきたはずだし
これからもそれを増やすことはできる
それに、そんなことで判断されるところで生きていかなくても
他に生きていくことができる場所はあるし
ないのなら作ればイイ
今までのことに囚われていてはこれからが見えなくなる・・・
やりたい事
してみたかった事
どうしてもやっておきたい事
少しの夢と希望があるのなら
やる気があるのなら
できる時に、やっておいてほしい

達成するまで何が必要なのかを考えながら
休みながら
希望があるのなら

心まで痩せてしまわない内に



2003年11月25日 午後 2:13:16



2階の納戸のライトアップ

この納戸はしばらく開かずの間になっていた
私が来た時からギッシリとモノがつまり
1歩も踏み入る事のできない未開の地だった
それを去年の春先に彼と整理し、小さ目のウォークインクローゼットにしたのだ
控えめながらも毎日4時過ぎには点灯している
中心にあるのは小さなツリー、不規則にチカチカする様子がかわいらしい
縁の青みどり色の光はずーとついていて、緑のモールの代り
ちなみに、100円ショップで購入

外から撮影
意味もなくずーと眺めていたりする

23日と24日の両日は家の中と外の大掃除をしていた
23日は庭の木の剪定や堆肥作りをしているところの整理を日のあるうちはずーとしていた
前もって私が手のとどくところの枝の整枝や刈り込みをしていたので
彼は脚立に登って徒長した部分の切り詰めをした
雑草取りや土ならしなど来年の用意も済ませ
私はその片付けの片付けに専念していた
今日24日は1階の押入れの整理をした
彼のお父さんがなくなってから一度も片付けた事のない場所なので
今年になっていよいよカビ臭さが鼻につき、念願の大掃除にこぎついた
納戸の整理もかなりの労力が要った大仕事だったけれど
この押し入れはニオイとカビとの闘いで半分ヤケになってすすめた
何しろ臭い!
収納のメインがダンボールなので、1階の階段下という押入れでは湿気を吸って、当然カビが生える
しまいこんで更にしまいこんだ洋服なんかも出て来たりして、なんとなく体がかゆい感じがしたりした
拭き掃除の前にアルコールで殺菌して、水拭きをしたりするけれど
いくら拭いても雑巾に色がついた
結局、今日使った雑巾は廃棄処分になり
収納されていた物の大半はビニール袋の中にうつしかえられ
明日のゴミの日を前にして玄関に山積みにされている
今、押し入れはがらんがらんだ
湿気取りもウンウンとモーター音を響かせながら何年か分の水分を吸い取っている


年末に向かって、スキッとね

2003年11月24日 午後 11:10:06


暖かい一日
寒いはずだから余計にそう感じたのだろう
朝のうちの曇天から、陽射しがさすようになると
一気に気温が上がった様で少し動くと暑いくらいだった
明日からはかなり冷え込みがきつくなるらしいので、今日は庭の整理をした
伸びすぎたオオムラサキや南天、月桂樹、椿、金木犀とホークシャー・・・
終わったのはちょうどお昼を過ぎ頃だった
45リットルのゴミ袋がいっぱいになった
少しは清々したのではないかな
私が庭に降りている間、ネコたちは好きずきに遊んでいた様だ
どたどたと走る音や取っ組み合いをしてうなる声
さかりが来ているナオミは一人で、アオォォォー!と叫んでいた
ゆきなどは一頻り遊ぶと私に声をかけてきた
あん
なあに、ゆき
んんん
ねむいの?
こんな感じにネコの相手をしながらの作業は気が紛れて良い
そうそう、ナオミの右目はさかりが来たと同時に良くなり
今は腫れもほとんどなくなった
いつもこんなふうなので、さかりが終われば、また目がグズッ…としてくるのだろう
ナオミとあおい
ナオミとあおい

昨日、沖縄の知り合いからお歳暮が届いた
うちにそんな物が来るのはとても珍しい
何が来たのかと見てみると、「・・・Orion beer !」
オリオンビールの詰め合わせだった
送り主は、那覇に行くといつも行っている食堂の女将からで
350ミリ缶で3種類の12本詰め
実にありがたや〜
今日になってそのうちの2本を冷し、異常に暖かかった今日の夕飯の時に彼と飲んだ
旨かった
でも、やはり沖縄で飲んだものとは味が違っていた
その土地の物はそこで飲んだほうがしっくり来る、と彼が言っていたがそのとおりかもしれない
もしかしたら製造場所でも変わって来る可能性もある
タイには、シンハーという銘柄のビールがあるけれど
タイで飲んだ物がそのまま日本にも輸出されている、ということはないそうだ
国内向けと輸出用では味にちがいかあるのだ
ブランドの洋服でも日本人専用に既製幅を変えたりするのと同じなのだろう
日本人好みの味に変える、そうしないと売れないという事実もあるのかもしれない
そんな事をされるとかえってその国のものがほしくなったりして
わざわざ足を運んでしまったする
・・・ん?
このビールも、そういう考えがあって贈ってきたのかな?
やられた

2003年11月21日 午後 11:40:54


19日

きのうの夕方から、ナオミの右目がぐずぐずになってしまった
開けられないくらいにヒドイ
本人もかなり不快な様で、よく目をこすっている
あまりにヒドイので、目薬をしてやった
ブランケットで体を包み身動きできない様にする
ナオミは小さい時から我が強くどんなことにも、まず、抵抗するところがある
特に目薬の時は、いやぁぁぁっ、と言ってモガキまくりである
歯磨きしようものなら、口を真一文字に食いしばり
絶対開けません!と、ぢーーっとこちらをにらみつける
でも、今回の目はヒドイ!
なので、なにをされようともじゃーじゃーと目薬で目を洗ってやった
顔中びしょびしょだ
それからは、名前を呼んでも私を見てくれないし、結局、不貞寝をしてしまった
丸くなってコロンである
それでも2時間くらい経ってみれば、右目からはメヤニが出ていたので少し安心できた
もし、このまま悪くなったり、なかなか良くならなければ
明日には病院に連れて行くつもりでいる
ナオミのかわいい小さな目、もう一度見たい・・・

さて、やっとのことでここ何日か分のメモをアップできた
降順なので読みづらい時は13日から読み始めるとイイかもしれない
ということは、すこし長い・・・
途中飽きたりしたら、腹筋や後ろ腕立てなんかしながら読んで行くとイイかもしれない
おせっかい?


17日
外来で診察の後、インフルエンザの予防接種をした
主治医から副作用についての説明を受け
採血をしてからの接種になった

この日はやたらに人が多く、結局血を採ったのは1時間後だった
知り合いがいたので、待ち過ぎぃ、と言ったりしてもなかなか順番が回ってこなかった
やっとの事で終わった採血の腕をそのままにして外来まで戻り
不活化ワクチンを打つ事になった
左腕を出し、腕の裏側にひと刺し
ぷつっと音がしたがさほど痛くなかった
入れる時が痛かったりするからね〜と、あらかじめ脅されていたけれど
全然痛くなかった
は〜い、おしまーいと注入したところをもみもみされ
何の事はない、1回目の接種は終わってしまった
次回は、12月の15日だ
・・・痛くありませんように


15日
きのうの遠出にもかかわらず
彼とデート
そんなに大げさではないのだけれど
彼のヒイキにしているレンタル屋の会員登録の更新に付いて行った
近頃、私達は毎週木曜日の「トリック」を楽しみにしている
スリットみかこ
この話の時にはまってしまった
そんなこともあって、まず劇場版のトリックのビデオ
テレビ版のはじめの頃のDVDを借りた
そして、腹が減ったのでかるい昼飯をパン屋で食べ
本屋に行って、「沖縄上手な旅ごはん」(さとなお著)を買った
前から読みたいな、と思っていたのでうれしかった
それから、Uニクロに行ってなんとなく冬物を眺めていたら
ダウンで気にいってしまったものがあり
ついつい衝動買い
これも、うれしかったりして・・・
靴下も買いたかったのでいつもの様に3足レジに出したら
「本日は特売で3足のところ4足で990円になっておりますぅ」と言われ
あらら、じゃ、もひとつ持ってきますぅ、と小走りで適当に選び
そんなことも、ラッキーついでにうれしかったりして・・・へへ
でもって、家に帰れば彼が夕飯を作ってくれて
それも、ラムのローズマリー焼きでマッシュポテトもこねてくれて
楽ちんでうれしかったりして・・・・




14日
朝から忙しい
彼は検査のため、朝食を摂らないのでその分、用意をしてやる事もないので楽だか
私は8時18分の長野行きの新幹線に乗らなければならない
そう、今日は高校に行って、「HIVとエイズを知り、その差別と偏見を身近なものとして考える」ということについて
知り合いと連れ立ってお話をしに行く事になっている
なので、彼よりも私のほうが忙しいのだ
ともかく、行く事にする・・・

「今日は遅くなるからね、○○くん (彼ね) からご飯出してもらうんだよ」
そうネコたちに言い残し、少し早い足取りで駅まで行き、そこからは一気に目的地まで乗り継いで行った
着いたのは、11時18分
待ち合わせまで1時間あった
ふふふ、観光しよう・・・
まずは駅舎を1枚

建て替えてから何年か経ったくらいの外観が印象に強い

山間にひらけた町には、どこからともなく薄い靄のような物がたなびいて
紅葉が過ぎて行った冬枯れの様子とあいまって、しんとした空気が張り詰めていた

しかし、見まわしてみても、目立つものといえばお土産屋が3、4軒、食堂が3軒くらい
あとは細々した必要なだけの商店と民家
  
川と橋、山に木々、澄んだ空気
厳しい季節の少し前の穏やかな空気が気持ち良かった

さて、昼飯にはそばを食べた
時間に余裕がなかったので足を伸ばす事はせずに、駅前の食堂にはいる事にした
少し入りにくい感じの店先から中を覗くと先客がいたので
これまた開けにくいドアを引くと、券売機があった・・・
食券を買って、それをカウンターに持って行く
まるでどこぞの社食のようだった
・・・どうりで、入りにくく見えにくくしてあったのね
心の中で納得した私は、500円の盛りそばをひとつ買って、カウンター越しのおばさんに券を渡した
待つ事5分くらい、ぽんぽんと出された一膳には、ざるに盛られて海苔のかかったそばと継ぎ足しなしの麺つゆ
それに心ばかりの薬味
3時間かけてやってきた想いは、この一盛りのそばに賭けられていた
目の前の箸立てにごっそりと入れられた割箸を一組引っ張り出し
いただきます・・・小さくつぶやいて、ぽちっと割った箸のささくれをこそぎ
まばらな太さの黒っぽい麺をひとつまみ引き上げ、真っ黒いつけ汁に半分くらい落として一息にすすってみた
・・・お、うまいじゃないの
そう、見た目の華やかさには欠けるものの
口に入れた時のつけ汁の辛さを外してみれば、麺はこりっとして気持ちのイイ噛み応えがあり
この時期らしいそばの香ばしさに、つるつるとした喉越しでスイスイ箸がすすみ
盛りそばを駆け足のようにして食べてしまった
そして、一息ついて気がつけば、テーブルの端に水が置いてあるのに目が行った
迷わず一口ぐいっと、・・・旨い!
水が美味しかった、・・・しまったっ!
そう、水でそばを食う、そうすればもっと旨いおもいができたかもしれなかったのだ
通振ったこと言ってとお思いかもしれないけれど、だまされたと思って一度やってみてほしい
混ぜモノのないそばは粉っぽくない
ぼそぼそともせず、私が食べた麺のようにツルツルとしている・・・
話がだいぶハシに寄ってしまったけれど、まあ、3時間かけたくらいの元は取れたような気はしている
そんなこんな、待ち合わせの時間になれば全員集合し
引率の先生方も時間通りいたりして、いざ、高校生達の待つ学校へと車を走らせる事になった

久しぶりの学校
その敷地に足を踏み入れたりするのは、大学を卒業して以来の事だ
昼下がりのぼんやりとした陽射しを浴びた校舎、どこかしら活気が感じられ
学校という雰囲気、まんてんだった
職員用の玄関からスリッパに履き替え、校長室へと通された
主である長は不在だったので担当の主事が今回のほとんどのことをみているようだった
そこで軽い打ち合わせのような事をして、予定時刻の午後1時
生徒達の待つ校舎のある一室へ向かった

一学年95名と何名かの教師陣
ざわざわとしたこだまが階段を登って行く途中から聞こえていた
一団が集っていた部屋は広く、寒くないようにストーブを焚いてあった
1歩2歩、スリッパの擦る音を立てながら、目の合った生徒さんや先生方とかるく会釈する
すると、その相手からは必ず、こんにちは!と気持ちの良い挨拶が帰ってきたので
私も同じようにして、こんにちは!とニコニコしながら挨拶を交わしていた
私たちの席は生徒さんの並んでいる横に並べられ
部屋の様子がすべて見渡せる位置にあった
それからは、簡単な経緯を主事が生徒たちに伝えたり、私たちの代表の挨拶などがされた
今回のお話は、95名をいくつかのグループに分け
それぞれを1人ずつのサポートと感染者が受け持つようになっていた
私がお話させてもらったグループは、心持静かな感じで、質問などをしてもうつむいてしまうような子が多かった気がした
15、6歳なのだ
そういう感じなのも当然だったのかもしれない
とりあえず、私は自己紹介から初め、名前や感染してからどれくらい経つか
その経路や今の状態、自分の性の趣向など
あった事をそのまま伝えるように専念した
そんな話しの間、生徒たちは飽きた様子もなくしていてくれたので
今からしてみれば、聞いていてくれたのだろうなあと思う事ができる
あらかじめ、学校の授業の中でも質問をいくつか集めていたようで
そのいろいろあった疑問にも答えながら1時間半の間、いつもは出さない大きな声で話しつづけた
出かける時にはいつも持ち歩いているHIVの薬も見せたりして関心を引いたり
「どういう治療をするのですか」という問には
「目に注射をする事かなぁ」と、さらりと言ったりして思いっきり引かれたりしたが
構わず事細かに話すと、次第にイヤよイヤよも好きになってきた様で
「ほかにはどんなことを・・・」ときたので、あった事をそのまま伝えたりした
ややスプラッター気味になった話も終わりに近づき
最後に、私からふたつ問いかけをしてみた

「私のようなゲイの人と一緒にいて、気持ち悪くない?」
「HIVに感染した人と一緒にいて、怖くない?」

どちらの質問にも首を横に振り、わたしの目の前にいる子供達は答えてくれた
そんな時に私のサポートについていてくれた人が付け加えて
「ね、普通の人でしょ?ちっとも特別なんかじゃないのよ」
そう言った瞬間、何かを悟ったような目になった高校生達
目の覚めた綺麗な輝きを放っていたように覚えている

会が終わろうとした何分か
私は、「ここに来て良かった」と、しんみりと感じ入っていたりした

すると主事である男性教員から
私達が立ちやすいように促す言葉をいただき
総勢8名、各々のグループの生徒さんを下に見ながら、なんだなんだとしていると
「今回こんな遠いところまで来てくださった方達に、感謝の意味を込めて拍手を贈りましょう」
そう言うや否な、手を叩く音を耳にしながらも、私達は頭を下げたり、照れながらお互いの顔を見たりしていることしかできなかった

帰りの駅舎前
今回ほとんどの事で動き回っていた主事の男性教員の車で待ち合わせをした駅まで送って頂き
バラける様にして車を降り、ほどなくお礼とお別れを言う雰囲気になった
私はあの教室での余韻にひたり、ただでさえぼんやりしている頭が夕日に照らされ普段以上にボケていたりした
そんな私の手をしっかりと握りぢっと目を見つめ
「ありがとうございました」
少し笑ったような顔で私を見ていた先生、迷いが晴れたようなお顔をしていた気がした

私は初めて自分自身の事
ゲイであり
HIVに感染し
エイズにもなった、ということを
会ったこともない人達の前で大声で公言した
それはそれで気持ち良かったり、恥ずかしい感じもしたりしたが
自分が自分のことをありのまま言う事は自然なのだとも感じたりした

今回この様に言う機会を与えていただいた方々に、ここでお礼を申し上げたいと思います
ありがとうございました

何かの役に立つのならと参加した今回の事は、私の一生忘れられない出来事のひとつになった
もしかしたら、またあるかもしれないこんな機会
私には必要な事なのかもしれない




13日
エステ初体験をした
ここんところ頬がこけて来たせいか、顔のタルミが気になった
心なしか、顔全体が下のほうへ垂れ下がっている様にも思え
いつも行っているカットスタジオで、3500円のメンズエステフルコースをしてもらってきた
シャンプー、マッサージ、顔剃り、美顔…
特にマッサージは、頭皮から首、肩、背中にかけてぐいぐい押され
お世辞にも気持ちイイというものではなかったけれど、これが不思議
仕上げに頭を叩かれる頃には、凝りという凝りが消えてしまう
シャンプーなどもいつもとは違ってかなりの時間、洗髪台に顔をうずめ
洗いで3回、コンディショニング1回
頭皮に重点をおいたマッサージ系の指使いで気持ちイイ
顔剃りはお決まりのフラットになって蒸されては剃る、蒸されては剃る…
ついでに鼻毛もカット…
そして、美顔
顔全体に水蒸気があてられ
もやあ〜と顔が温められる
ただ、慣れない事なので水蒸気で苦しくなったりするが
むせるのも恥ずかしいのでなるべく息を深くしない様にして平静を装った
そんなこんな、くちゃくちゃという音が耳元でし始め
アゴの辺りにめちゃ〜とした、ぬるぬるしたものを塗られた
それは顔全体に塗りたくられ、くねくねと動くマッサージの指使いで肌に馴染んで行く
すると、ウィーんというモーターの音がしたかと思うと
細かいブラシで顔をこすられる
これが、フフフと声が出てしまうような快感があり
今回の一番のお気に入りになった
このブラシは2種類あるようで、初めに大きい物で全体をコショコショし
次に小さい物で小鼻などをくすぐる
これをすると毛穴の汚れがとれ、きれいになる
家に帰った後、鏡の前で思わず、わおぅ!と言ってまじまじ自分の顔を見つめてしまった
めちょめちょのぬるぬるになり、気がつけばあの頃の肌のような感触…
イイ
肌の新陳代謝は、私の年齢なら40日というところだろう
今度はカット+のフルコースをお願いしようか・・・・

2003年11月19日 午後 5:23:33


日も落ちて、夕飯の仕度にとりかかろうとした時
東の方から、「ゴー」という音がした
ネコたちはご飯を食べて満足げに顔を洗っていた手を止め
ふっと、東の方へ顔をやった
その様子を見ていた私も、「あれ?」と思った
するとカタッと家が鳴ったら、くらっと軽いめまいがした・・・ちがう
それは、めまいではなく、地震だった
今回の揺れは横にゆすぶられるような感じだった
お、お、お、という感じに体が動き、ネコたちの首も揺れに合わせて動いていたりした
揺れ初めて数秒後、窓を開け、テレビをつけてニュース番組を探した

『地震です、慌てずにテーブルや丈夫な物の下に隠れてください、いくら大きな揺れでも1分ほどでおさまります・・・』

近頃の防災意識からか、的確に対処法が伝えられていた
時計を見ていたが、確かに1分程度で大きなゆすぶりはなくなり、揺れの残りだけが吊り下げられている物を振り動かしていた
地震に合わせてふらふらとしていたネコたちは何事もなかったように適当にほっつき始めている
ただ、ゆきは窓の外を見たり私の顔を見たりしてなんとなく心配そうな素振りを見せていた

震源は紀伊半島沖で、マグニチュードは6くらいだったと思う
今月は奇数月、月末当りの予想が当らないといいけれど・・・

彼が仕事から帰り、しばらくしてから、「今日の地震は揺れたねー」と話を振ってみた
「しらなーい」
実に素っ気無く他人事で我関せずを丸出しにした返事をした
やはり、家の中と外にいるのでは何か違うのだろう
温度差というのかな…

そんな彼、食事の後になんだかそわそわしてトイレへと走って行った
今晩は、キジ丼にゴーヤーチャンプルー、きゅうりのおしんこにワカメと豆腐の味噌汁を作った
2合飯を完食したので、かなりお腹がいっぱいになったのだろう
私は洗い物をしようとシンクの前に立とうとしていた
すると、彼がどたどたと走ってきて、「大変大変、トイレのドアが開かなくなっちゃったぁ」と
その場駆け足をしながら焦った目をして私を見つめていた
息もなんとなく上がって、何かを我慢しているのが伝わってくる
「あらあら」
ちょっとだけぶっきらぼうに返事をして、トイレのドアノブを見ると鍵がかかっていた
うちのトイレのドアは壊れてから2年ほど経つ
役に立たないノブと締まらない鍵、それでも家の中だからと思ってそのままにしておいたのだ
それにしてもどうして閉まったのだろう
誰も入っていないトイレなのに…
とりあえず、ドライバーで閉まってしまった鍵を開け、中には入れるようにして事は済んだ
しばらく用を足しにこもっていた彼が開口、「ああー、良かった、入れてぇ、いっぱい出…」
とりあえず、入れない以上の大変なことにはならなかったようで、私も良かった

・・・地震で鍵が閉まった、そんな筈は無い、よね?

2003年11月12日 午後 11:42:02


日付が変わると新鮮な気分になる
近頃、自分のサイトを良く見直している
全体が薄いような、ペラペラなような感じを持つ
また何かを過ぎているのだろう

今週は14日に長野に行く予定だ
自分の経験を高校生に伝える機会をいただいたので
片道3時間の、いわば日帰りの小旅行がてら
HIVの実際、エイズはどんなものなのか、本物の同性愛者にふれるということについて
まっすぐに話してこようと思う・・・


その事もこのサイトで報告するつもりです
もしかしたら、兼ねてリニュウアルもするかもしれません
とにかく、

まだ、HIVは大丈夫、ではない

しばらくはこのフレーズがメインになると思います
そして、

自分が自分でいられる場所

この言葉について、これからは何かしらで変化があるかもしれないですね
なんにせよ、

私はここにいます

I am here.



2003年11月12日 午前 12:20:06


彼がインフルエンザの予防接種をしてきた
といっても、何ら変わりはない
右腕にバンソウコウを貼って挿した所をとめている
シャワーも浴びてイイらしい
それに大人なら1度の接種で終わりだそうだ
・・・
きのうは友達が、「してきた」と電話をしてきた
私と同じ感染者で入院していた時からの良い知り合いだ
その友達の電話での開口一番、「痛かったー」
・・・
いつもことを大げさに言うところのある彼は、今回も殊更派手に言ってくれた
そんなふうに言われては、先を聞くのが怖かったが
怖い物見たさみたいなものできいてみる事にした
「どこにしたの?」
「お・し・り、…うそ、腕」
「それで痛かったの?」
「だって皮下注だったもん」
「え〜!皮下注なの〜!?」
「ふふふ、いたいよ〜」
「・・・」
皮下注とは、皮下注射の事だけれど、あれは痛い
肩や腰にする麻酔も痛いが皮膚にするのも痛かったりする
私の彼は、腕、にした
友達は、皮膚、にした
なんかちがう
それに、友達や病院の人達にきくと、接種は2回必要らしい
1回目から4週後に再びプシュ
見た目は大人でも、中身はガキなのだろう
はやくしたいようなしたくないような…
でもしたほうがイイお注射
私の予定は17日だ

2003年11月7日 午後 11:23:39


嵐のあとの雲が空に残り
夕日を反射して、白金に輝いている
もう雨は降らないだろう

今見ている夕日、たまに見かける朝陽など
非日常の一時
止まったように感じたりする
自分だけが動かずに
周囲の事柄が弛むことなく活動しているのに
つい忘れてしまったかのような気軽さで自分の中が静まる時がある
見ていたはずの状況に同化してしまうというのかな
音を聞いている実感も薄くなり
まるで融けていくようになって気持ちがイイ

そんな時、体のかゆみも手足のしびれも感じないでいられる
いつも出ている咳は止まり、呼吸も長く浅い
いつものだるさ、自分の重みが感じられない浮遊感
現実にいるというのになんだか不思議な感じがする

さっきまで見えていた空が暮れてきた
雲はサーモンピンク色に変わり、空も水色から青、青から紫に変化する
何をしよう
何からはじめよう
考えてしまうことがあるのなら
ふと、空気の中に融けこんでみよう・・・・

2003年11月6日 午後 4:53:41


ネコたちのクッションを7個作った
ミシンで一気に作った皮の中に手芸用の中綿を詰め口を閉じる
綿は彼のおばさんの家に行った帰りに手芸屋さんに寄り
綿菓子状になってぎゅーぎゅーに詰められているものを一袋使った
ここのところ、手芸やハンドメイドなどが流行っているはずなのに
その専門店は軒並みつぶれている
この綿を買いに行ったのも初めて行く店だった
いつも行っていた店がいつのまにかパチンコ屋になっていたからだ
私の実家の近くにもあった古いタイプの店
人が入っていなくて、儲かっているとは思えなかったけれど、やはり店を閉じてしまったのだろう
ずっとそのままでいられない事柄がこんなところにもあって、それなりに寂しい感じがした

さて、初めて行った店はかなりの年数が経っていて、昭和40年代で時間がストップしている雰囲気があり
ディスプレーなども何年前に変えたのかも定かではないほどのアンティークな趣を放っている
・・・ここは、そのまんまだったのだ
お目当ての綿は店の外から見えていたので迷うことなく入り口のガラス戸を押し開けて店内へと入って行った
綿ばかり見ていたので気がつかなかったが
入ってすぐ、左側には2階へと続く階段があった
その階段と平行につけられた手すりが上品で、思わずつられて上がって行ってしまいそうになる
これこれと綿を確認し、ふと、反対の壁に顔を向けると
思わず息を呑んでしまった
その右の壁には様々な色の手芸糸がきちっと並べられている
単色のグラデーションからツイードの糸、変わった撚りのヤーンが天井から床の間に見事に飾られていた
私はそれを見ただけで鳥肌が立ち、しばし口を開けて上下左右にその糸でできた壁を眺めてしまっていた
そんなこんなしていると私の斜め左後ろに人の気配を感じ我に返り
おそらくのそこの店主であろう男性に
「店先にある綿をいただきたいんですけれど、」と一息で並べた
「はい、」
彼はそういうと足音もなく店先の階段の踊り場に飾られていた綿のところまで行き
ガラスケースの引き戸を横に滑らせた
軽くこすれるようなガラス戸の音がイヤに耳についたけれど、その男性の身のこなしと手さばきの方に目が行き
小さな劇場での1シーンを観ている気がしてしまった
「こちらでございますか」
「は、はい」
うわずったように答えてしまったのには訳がある
店の中にいた男性、おそらく店のご主人だと思う人だが
その受答えと所作に、頑然たる自信とそれを裏付ける年月を感じずにはおれない説得力があるのだ
そして、決して何を作るのかなど尋ねることはない受身のサービス
客の要望だけに的確に反応する理解力
それなのに肩の張らない軽い動き・・・
プロなのだ
物を扱って商売する職人さんなのだ
その心意気とでもいうのかな、不用意な自分に襲ってきた快感にも似た脱日常
会計するのにも、そのことは言えた
何をするにも迷いがない
袋詰から現金の受渡し、そして、礼を述べる時の姿勢…
何故か彼の顔を思い出すことができないけれど
おつりを渡された時のあたたかいような優しいフワッとした感じが印象的で
その体から笑顔まで感じとることができてしまうほどだった

店のそとに出て、今現在の喧騒が目の前に現れ
違う世界に来たような気になったが、それでも冷静になって少し考えてみた
「きっと時間のひずみに落ちるというのは、ああいう事を言うのだ」
まるで幻想小説を読んだ後の様に目が潤んでいる自分を感じる事ができた

そんないわくのある綿を使って作ったクッション
ネコたちは気にいってくれた様だ
1人に1個、くらいのつもりで各ポジションに置いてやった
まだ専用にはなっていないみたいだけれど、その内にシミがついたり綿がへこんだりして
全部が全員の専用になるのだろう

2003年11月5日 午後 11:19:44


彼と彼のおばさんに会いに出かけた
10月末からよく外出している
朝から雲ひとつない天気で、風穏やかだった
駅まで2人してすたすた歩いて行ったら息が上がり、汗ばんでしまい
変な気候に季節を間違いそうになった
おばさんの最寄の駅で待ち合わせをし
前から行こうといっていた回転寿司に行くことになった
秋も11月だとは思えないような陽射しを浴びながら
たらたらとくだらない話をしながら歩いて行った
途中、ハナミズキの紅葉が綺麗で足を止めたり
ローズマリーの植え込みを見つけては香りを嗅いだりして
散歩の様になってしまっていた
こうしていると私の祖母のことを思い出したりして
孝行は血筋だけではないなあ、などと二周りくらい歳をとったような気がしてしまったりした
やれやれ

さて、目的の寿司屋につき、店員さんに連れられてカウンター脇のボックスシートに案内された
私は何より卵、玉である
彼はマグロ
おばさんは、食べたい物から…
まずは一口、ネタの半分を口にして味わっていた
まずくはないがコクがないなあ、なんて2口目を開けていると
おばさんは次の皿を手にしていた
彼も2カンを食べ終わり、次を物色しているところだった
彼は普段から食べるのが速く、私はそれに追いつくのに大変な時がある
なのに、おばさんときたらそれ以上に速いのだ
2人は短期決戦型
私は長期戦タイプなのだ
見る見るうちに寿司が吸い込まれて行くので
目の前にはどんどん皿が積まれていく
その様はワンコ状態でついつい見とれてしまった
彼はマグロとエビ、おばさんはアジがサイコー!と言っていた
あんなに早食いでも味はわかるもんなんだなあ、なんて感心してしまった
私は彼と分けたマグロとあぶりトロが旨かった
3人で6000円くらい
ま、まんぞくだった

帰り道もなんやらかんやらで歩いておばさんの家に戻ったが
ずーっと話つづけの笑いつづけで、また汗っぽくなったりした
そしてこの日のもうひとつの目的、ミシンがけ
ネコたちのクッションを作ろうと前々からミシンを貸してもらう約束をしていた
古くなったシーツを適当に切り、直線で一気に作って行く
おばさんの持っている物は新品だそうで、設定もすべてタッチパネルになっている
試にと雑巾も作ろうと思っていたのでタオルで練習したが、とても使いやすくてうらやましくなってしまった
うちには近所の人からいただいた1万円ミシンがあったが、やはり1万円は1万円だった
1万円は1年もっただけで簡単にぶっ壊れてしまった
・・・イイなあ、そんなことをつい口にしたら
「おばさんが死んだらもって行けばイイわよ、ガハハ」
愛着がわいてしまうではないか…、ついついミシンをなでたりしてしまった
結局、練習に作ったタオル雑巾は8枚
クッション用には10枚以上を縫い上げ
お土産に柚子までもらって帰ってきた

彼のおばさんは私が入院していた時にお見舞いに着てくれたことがあった
あいにく、検査の後のひどい頭痛で満足に起き上がることもできなくなり
首すら動かせない時だったので、ちいさいおばさんが余計に小さく見えたりして
とても申しわけない気がしたりした
ぐったりしていた私の枕もと、おばさんがそばに着て私の頭を撫でてくれたりもした
「かわいそうになぁ、必ず良くなるからね」
そんなふうなことを言ってくれたように覚えている
唱える様に何度もシミの浮いた手で撫でくれていた
けれど、頭が痛い上に撫でられたりして、もっと痛みが強くなり
おまけにおばさんの口臭が間近で振りまかれ
痛いやら臭いやらで、うれしい反面、とても印象深いお見舞いになって私のあの時の大切な記憶のひとつになってしまっている

来年にはいっしょに沖縄に行く約束をしている
きっと楽しい旅行になるだろう
「沖縄ね!3泊でしょ、どんなところなの?」
そんな話もしたっけな・・・・

2003年11月4日 午前 12:07:51


あっという間に11月
はやーい

1が3つ並ぶワンワンワンの日
14日に行く長野のチケットをとりに出かけた
風がやや強く前日よりも少し冷えた感じの空気が着ていた洋服の裾や袖口から入り
着実に冬の到来を予感させる
それでも駅に着く頃には薄っすらと汗ばんだりして
「まだまだ束の間の小春日和だ」などと、これからの寒気に抵抗を見せるのは私だけだろうか

新幹線やそのほかの手続きが終わり
ことなく時間が空いてしまい、昼飯がまだだったのでその足で上野まで出ることにした
ちょうどこの日は彼も職場の飲み会があり帰りが遅い
私も夕方に友達と会うことになっていたので
しばらく一人でぷらぷらすることにしたのだ

平日の昼間の電車はすいている
ガラ〜ンとして自分が荷物になった気がする
上野〜上野〜、私の小さい頃はそんな響きがあったものだけれど
今では普段話すような調子で構内アナウンスがされていた

上野で昼、といえばやはり蕎麦
いつも行っている蕎麦屋にさっさと入って、「大もりひとつ下さい」とレジで頼んだ
ぽつとぽつと埋まっている席の隙間を見て座るや否や
水が置かれ、蕎麦も間もなく運ばれてきた
季節柄、四角い座に盛られた蕎麦は透き通っていて美しい
ぼんやりとほんの2、3秒眺めたりして食べるのを忘れてしまいそうだった
箸箱から1組つまんで勢いつけて箸を割、用意した蕎麦汁に半分くらい沈ませ
ずずーっとすすり、一気に噛んだら、まだとり立ての若い蕎麦の香りが鼻で感じられた
旨い
それでもって、今日のは特に旨いっ!
彼がいれば口にできた言葉を蕎麦と一緒に飲み込んでしまった

はすっぱの蕎麦もひとつのこらず食べ終えて、昼の抗生物質も飲み
暖簾をよけて店のおもてに出ると随分暖かく感じられた
待ち合わせまで4時間ある・・・
上野といえば、美術館
なにはともあれ、公園口へと足を進めた

・・・先ほどとは違い、ものすごい人の数で見ただけでアップアップしてしまいそうになる
修学旅行、都内見物の人達、ヒマな主婦の方々、サボりのリーマン
よくもまあ、こんな上野の駅前に集ったものだと思ってしまった
私はなんとしてもこの人の波から脱出するべく、手近な国立近代美術館に飛び込んだ
「レンブラント…」
名前を知っている画家の特別展が開かれていた
「光と影のアノ人ね」、幾らなのかと値段を見ると、気軽に出すにはちとおしい額だった
割引はあるのかと探すと身体障害者手帳を提示の方は無料
受付で、「これでお願いします」と言って入場のチケットを手渡してもらい
芸術の秋、さながらにしばらく館内を観て歩いた

建物の敷地には有名な彫刻のレプリカがある
「天国の門」、「考える人」云々・・・
ここでひとつ疑問が湧き、ロダン作のアノ男の人の前で足を止めた
「・・・あるのかな」
考える人の格好は知っていても、細部まではマジマジと観たことは無かった
なので、イイ機会と思いじっくりと観賞した
結果は、あった
形こそはっきりとしていなかったが、アレがアレで両脇のアレがアレねというのはすぐにわかってしまった
すっきり、観る物も観て、次は国立博物館に行った
ここは行けば何かしらやっているので時間をつぶすのにはとても良い
看板を見て少し興味を引かれた展示があり、それを観に行くことにした
当然ここでも料金はかからず、手帳を見せ、「これでイイでしょうか」というと、係りの方達がいろいろと気を使ってくれ
「階段の段差がきつくなっているので気をつけていらしてください」とか親切な言葉をかけてくれた
私も「はい、ありがとうございます」などといつもより深くお辞儀をしたりして
なんとなく気持ち良くしていることができた

正面の噴水を右に見ながら奥の平成館に行き、ラウンジで飲み物を買って一休みし
表慶館で開かれている「煌きのダイヤモンド」を観に行った
・・・すごい、本物、きれい・・・
16世紀や17世紀のアンティークなのに、迫ってくるような威厳を放ち
ちっともくすみを感じさせないエネルギーを感じた
「たまには、本物を見ないとダメだなあ…」
正直な感想だった

ひとしきり観て周り、火照った顔を撫でながら外に出ると、空は夕焼けよりも深い夜の色で染まり始めているところだった
そういえば、上野の博物館、ライトアップしているはず・・・
そうおもって振りかえった表慶館、見事にビカビカの白浮きした洋館に様替りしていた
そして観まわせば、本館も華やかな橙色で浮き立ち、薄紺の空とあいまって一種異様な空間を作り出していた
池に映ったその光は更に豪華な雰囲気をかもし出し
昔あった栄華までも思い起こさせる演出に小躍りしてしまいそうになった

国立科学博物館前では、鯨や機関車のD51もライトで照らされており
公園内にある大抵の物体にも真新しい光が当てられていた

そんなこんな、待ち合せ場所に行くために山手線に乗り
一駅ずつたどりながら新宿についた
紀伊国屋で会った友達とは実に1年以上振りで再会した
煙草をやめたようで少しふっくらした様に見えたが、とても元気で安心した
彼とはかれこれ10年くらいのお付き合いになるのかもしれない
以前していた仕事の同僚という関係で今現在は細々とではあるが、たまに会っては楽しい時間を過ごさせてもらっている
私の入院中も2度ほど見舞いに来てくれた
何故か彼には病気のことをすんなりといえた
そんな私を彼は静かに受け入れてくている、ような気がするが、どうかな?
18時くらいに会ってパスタ屋に入り、話しつづけること4時間弱
店を出てから駅に着くまでもずーっととりとめも無く話しつづけ
改札を通って別れる寸前まで言葉は止まなかった

夜の帰り道、その日の出来事を思い返し
久しぶりの午前様ギリギリの時間に少しうきうきしながら家へと足を速めた

「・・・おっ、何してるの!?」
何故か彼が玄関の前に釣り用の椅子を出して座っていた
「鍵忘れたの…」
涙声で答えた彼、かわいそうでもあり滑稽でもあり、何を信じて待っていたのか
そんなことを考えると私まで切ない気持ちになってすぐに鍵を取り出して彼を家の中に入れてやった
ひどく冷えた体は冷たくて、飲み会でのアルコールもたらふく食った食事もすべてどこかに吹っ飛んでしまったようだった
ネコたちも彼が家の前で待ちぼうけをしているとは露知らず
日付の変わったミッドナイトランチを出してやるとがっついて食べていた

それから30分くらい、私はどうしても笑いが止まず
クスクスと夜中の風呂場でシャワーを浴びながらニンマリしていたりした
・・・今でも、キーボードを打ちながら思い出し笑いをしているくらいだ

冬になる直前の夜
私は時の流れに深まる季節を感じ
彼は私が帰るまでの3時間の間に厳しい季節の変わり目を体感し
ネコたちはあんまり変わりのない日々の、ちょっとちがう一日に少しおかしいな?と思うくらいの変化を感じていたのかもしれない

2003年11月2日 午前 1:10:01